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いかすバンド天国 ON WEB 2008IKA-TEN
リレーインタビュー
vol.2与田春生「かのMISIAを育て上げた孤高のプロデューサー。滅多に表舞台には登場しない彼が「イカ天WEB」の審査員に登場。女性ヴォーカリスト要注目!」

——話を戻しますが、このたびイカ天のWEB版が誕生することについては、どう思いましたか?

「久しぶりにオーディションの話が来た!って思いました。基本的にレコード会社やプロダクションの裏方としてのメンタリティーで仕事をしているんで、オーディションっていうのは、僕にとってもチャンスなんですよ」

——審査員のオファーには、すぐOKが出ましたか?

「そうですね。ちょっと面白そうだなって思いましたし。それに、さっきも言ったように、真面目に音楽に取り組んでるバンドが好きなんで、そういうのをピックアップしないといけないなって」

与田春生

——自分のやらなきゃいけないミッションかな、と?

「そうですね。はい」

——今回は、どのような視点で審査を行いますか?

「今、音楽業界全体が元気ないですよね。バンドも、いわゆるビジュアル系の時代があって、パンクとヒップホップが混ざったミクスチャーの時代があった後、ここ数年ちょっと方向性が見えなくなっている感じです。たくさん新人はデビューしているんですけど、続かなかったりもする。やっぱりショウビズの世界なんで、プロとしてやっていくなら、ある程度のセールスとか動員とか、いろんなこと考えて進めていかないと、なかなか成功できなくなっちゃっているんですよ」

——そうですね。

「そういう意味では、まあ最終的にデビューしてプロとしてやっていくことを考えると、長く活動できるような、王道のバンドが出てくることを期待したいですね。サザンオールスターズが活動休止しましたし」

——王道のバンドに必要なものっていうのは何でしょうかね?

「よくレコード会社の方や媒体の方が、曲が良いとか、悪いとかっていう話をされるんですけど、ヒットを出す人達って、どんなにヘッポコな曲でも良く聞こえさせちゃうし、何でも良くしちゃうんですよ。くだらない詞でもホロっとさせたり、同じメロディーでもその人が歌うと膨らんだりとか、そういうことがあるんです。だから、そういう人が出てきて欲しい。MISIAなんかも、正にその典型だと思いますしね」

——それは、ボイストレーニング的なことではなくて、内面的なものから出てくるものですよね?

「歌の上手さ、下手さじゃないですよね。その人の持っている、たまたま持ち合わせている声の響き、喉の構造といったフィジカルなこともあるでしょうし、その自分の声を演出する力も必要かな。名曲を何十年も書き続けられる人っていうのは、いないんですよ。あきらかに煮詰まっているなって曲だってあるし、たまたまそういうメロディーが出てきちゃったっていう曲もあるけど、そういうものに揺さぶられない声のキャラクターっていうか、そこですよね」

——天性のものが、実は大事ということですね?

「そうですね。歌は、多分誰でも歌えるんですよ。僕も歌えるし、みんな歌える。だから、それでお金を取るには、それだけの才能がなければいけないと思うし、それだけ努力をしないといけないと思うんです。よく新人とかに話すんですけど、普通の人は空中ブランコとかできないから、それを見てお金を払うわけですよね? それは、野球にしてもそうです、サッカーにしてもそうだし、F1にしてもそうです。そういうことが分かっている人に出てきて欲しいな」

——とはいえ、本人の才能は案外、自分で認識できなかったりしませんか。

「いや、わかると思いますよ。才能のある人は、自分の才能を知っています。そう思いますね。これまでいろんな方を見てきて、感じますね」

——今回のエントリーは動画で投稿する形になっているんですけど、そこでも動画の出来ではなく、本来持っているパフォーマンス能力を見せて欲しいですか?

「そうですね。僕はバンドもやっていたので、ドラムとベースの関係とかも気になりますけど、トータルのアーティスト性、キャラクター、そして歌がどれくらいできるか、っていう点が大切だと思っています」

——与田さんはプロデューサーとして御活躍ですが、音楽にとって最も大事なのは何だと思いますか?

「何でしょうね? いろんな要素がありますけど、“今の気分を変えられること”ですかね。すごく落ち込んでいたのに元気になったとか、元気だったのにすごく悲しくなったとか、そういうリスナーのモードを変えられることが、一番大切だと思います。だから、曲がどうだとか、サウンドがどうだとか、歌っている子が可愛いだとか、そういう事じゃないですよね。音楽って、身近でどこででも聴けるし、どこででも自分のモードを変えられるんです」

——それは音楽が本来持っているパワーだと思うんですけど、プロデューサーの視点からは技術的につくれるものですか? ナチュラルにしかできないですか?

「意識的に、限りなくそれに近づけることはできると思うんですけど、限りなく近づいたところにこそ、大きな壁がありますよね」

与田春生

——最後はやっぱりこう、内面から出てきたものには勝てないとういうことですかね。

「勝てないと思いますね」

——一方で、テクニカルな面で大事なことはありますか?

「よく歌のディレクションをすることが多いですけど、強い個性を持ったヴォーカリストはたくさんいるわけですよ。そういう人にこそ、リズムやピッチを何とかしてもらいたい、と思います。音楽ってものを数学的に見ると、リズムとピッチしかないんですよ。だから、例えば四分音符の長さとラの音程・周波数、それが正確でさえあれば、どんな個性的な声だろうと気持ち良い音楽になる」

——個性も大事だけれど、まずは基本から、ということですね。

「そうなんですよ。それは現場にいて感じます。ともかく、荒削りでいいんですけど、音程やピッチは良い方が気持ちいいです。そこをふまえた上で、わざとフラットインしたりとか、ちょっとシャープ気味にして雰囲気を明るくしたりとか、ちょっとリズムを後ろに持っていくとか、突っ込んでいくとか、そういうことができるんですよ。アマチュアの人達には、そういうことがあるってことを知ってもらいたい」

——イカ天で勝者となるための、ズバりこれだ!という要素があったら教えてください。

「何だろう? どんなのが出てくるかわかんないからな。ヒットを出せるということじゃないですかね。ライブを見たらすごく良いっていうことだけじゃなくて、ヒットを出せるということ」

——それは、世の中に何か影響を与えられるような人をオーディションで発掘していきたい、っていう視点から出てくる要素ですね。

「そうですね。最近は、世界的ヒットが出ていないので、でかいヒットが出るといいな。マイケル・ジャクソンの「スリラー」みたいに、みんなが知っているヒット曲。そういうものがまたクるんじゃないか、とも思っているんですよ」

——それはインターネットから生まれてくるものですか?

「ネットでしょうね。それがフリー動画からなのか、特定のサイトからなのかは分からないですけど、みんながそれを見るっていうことから生まれてくるんじゃないですかね」

——最後に応募者にメッセージをお願いします。

「レコードがあんまり売れないんで、優勝して、ヒット曲を出して、音楽業界を元気づけてください! サザンオールスターズも活動休止なんで、それにとって変わるバンドになってください」

与田春夫

生年月日 1967年生まれ
出身 :東京

作詞家、橋本 淳を父に持ち、幼少より歌謡曲、ソウル、ロック、クラシックなど様々な音楽に触れ育つ。
当時より自宅に出入りする作家、ディレクターに影響されクリエイティヴな音楽の仕事を志す。
詞曲のコンビであった筒美京平氏に憧れるも、作家業の過酷さに不安を抱きレコード会社に就職。
ライジングプロダクション平哲夫氏のもとで仕事を学び、1997年九州のオーディションで当時18歳の女の子をスカウト。MISIAと命名する。
センセーショナルなヒットを生む。
以後、10年間、MISIAを中心に、AI、加藤ミリヤ、リリコ、華原朋美などの女性シンガーを中心にプロデュース活動を展開している。
これまでに制作したCDの売り上げは、3000万枚に及ぶ。

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